感想 - 映画「gifted」

ネタバレします。ご注意ください。

人に才能があり、それが幼い頃に見出された場合、それを伸ばしてやって幸せになった、みたいな話は結構転がっているし、それを肯定するという考えも多いけど。
その姿勢、さじ加減で危険な思考にもなる。また、本人の感情や意志を無視した場合に、時に大きな不幸を呼ぶことになる、という事について考えさせられた映画でした。
特に最後の方で、何気にメアリーの自殺した母について、メアリーのお婆ちゃんが突きつけられる事実、実は数学問題を解決していたのだが、それを母*1には知らせずに、死亡後に公表するように伝言した事を明かされるのが、「貴方は自分を美化しているようだけど、自分の意志のために子供の自由を制約して、恋人との逃避行を誘拐として追い詰めたよね。」という裁判で明かされる事実*2もあって、自分の視点でしか考えない思考や思想が、いかに他者を縛るか、という事実を強く考えさせる内容となっていました。
この映画、そういう内容に加え、子供の台詞とか、模型を壊されたクラスメイトへのリスペクトの主張とか、メアリーが片親への失望を抱いた時に産婦人科*3の待合室に連れて行くとか、学校の先生とフランクが一夜を過ごした後に出くわしてしまった*4後に、メアリーと色々口論した後に謝る処とか、色々見所ありますね。メアリーの学校の先生も、映画の予告編ではちょっと印象悪かったんだけど、ごく普通に子供を見守る大人の一人として描かれていて、安心した。
 後、なかなか面白いな、と思ったのは google でキーワード検索するという行為が日常的な行為として印象的に描かれているのですよね。
法廷で、育児放棄している父親がメアリーを探さないでいる事実の証明に使われていたり、メアリーの事を担任の先生が知る方法だったり、会話で出てきた暗算法を確認するために使われていたり。

*1:つまりはメアリーにはお婆ちゃん

*2:ここ、法廷劇としても面白かった。弁護士の和解を勧めようとする苦悩とかも。

*3:最初、産婦人科だとは分からずに、何を待っているんだろう、と思ったら、子供が生まれる瞬間を待ってたんですよね。しかし、生まれた子供の家族にとって、メアリーは「何、この子?」とかいう存在になってないだろうか。ちょっと、気になった。まあ、他人も喜んでくれて嬉しい人もいるし、大丈夫かな...。

*4:あんまりいい言い方じゃないかな。でも、あのバツの悪さはなかなか凄い。