犯罪は精神異常者が起こす、のではない。(某創作が罪作りな部分)

多方面から創作が疑われるに至っている、本当にあったとされている誘拐未遂事件*1の件だが。
精神科医が懸念を表明していて、あれの一番いやな処は実際に類似の事件があるかどうかではなく*2、そういう事に気を付けようと訴えている表現に、精神異常者への偏見をかぶせに行っている処でしょう。
人の偏見や、ステレオタイプ心理に漬け込む構造になっている。
実は現実に医療観察法も似た構造を持っており、それを話題で持ち出す場合には、そもそもがこの話題の狙いに見事にはまってしまっているので、その点に注意して欲しい。
実際には犯罪行為を異常な状態とみなす心理が、それを形成していると思っているのですが、犯罪者は基本的に精神異常者ではありません
悪意ある普通の人が起こすのが大半の犯罪です*3
精神異常と判断される人は、人より判断が偏っているがゆえに、犯罪を最後まで完遂できないです。犯罪を完成させてしまえる人は、嫌な事ですが、そこまでの能力はある人、狡猾で人の盲点を知っており、人の盲点につけ入ることが出来るほどに、精神的には普通の人、なのです。
一見して異常に見えれば、周囲に警戒心を抱かせ、最終的には犯罪行為を完遂できないはず*4なのですが、相手の異常性に着目しているとき、その構造はきれいに忘れ去られてしまう。
犯罪は異常に見える人が起こすはずだという思い込みは、防犯の上でも怖い構造を生みやすい*5ので、心しておいてほしい部分です。

*1:twitter で告知された、子供を失った影響で、自分の子供と勘違いして他人の子供を誘拐し、警察に通報されたという事件。本当に起きたのなら、警察記録に載る筈なのだが。

*2:実際に人の心理の盲点を狙った犯罪はあるでしょう。その部分は事実。

*3:犯罪を犯罪として認識できていない心理がある部分はありますが、それは精神異常というより、行動則の異常のような感じ。あくまで、精神状態は正常です。いわゆる精神疾患ではありません。

*4:ある分野の精神異常の場合には、さらに捜査上の取り調べで、犯罪行為を実際にはしていないのに、あたかも自分がしたかのような心理に誘導されやすい人もいます。

*5:目につきやすい異常者を警戒し、悪意を隠し、密かに犯罪を犯す真犯人を見逃してしまう。冤罪を生みやすい心理。