映画「ステップフォード・ワイフ(1975)」の感想(短文)

ネタバレご注意ください。

リメイク版は評判が悪いので観ていません。
また、最初からネタバレ全開なのでお気を付けください。


さて。これは血の出ないホラー*1で、描写自体は古い映画のせいか地味になっているので、観る際には退屈してしまうかもしれないが、段々現実が露わになってくる物語が凄かった。

ステップフォードに越して4か月くらいで変わってしまう住人ということだが、多分、クラブに入るのに資格審査がある感じでもあるので、総ての住人がそうなっている訳でもないかも。ここら辺は良く分からない。

あと、元々ウーマンリブ*2のクラブもあったようなので、最初からそうだったわけではなく、何らかの形で男性クラブが逆襲を開始したのかな。まあ、現在でもあのクラスのセクサロイド*3を作るのは難しそうなので、そこら辺も込みでホラー作品という事なんでしょうね。

語彙のサンプル採取と、対象者のスケッチが材料で、そっくりなものを作る、というのは映画らしい演出で、それだけで登場したものが作れるとは思えないが、変わってしまった女性の傍に必ずあるスケッチ絵とか、入れ替わるときに奥さんを誘う手口とか、そういう部分で手順が完成されている感じが、かなり薄気味悪い。

あと、会の方針に反感を抱く男性とか出てこないんでしょうかね。男はそういう風に必ず考えるものだ、という決めつけがある感じが、別の意味で気持ち悪かった。
対象のセクサロイドって老化のプロセスとかは無いんでしょうかね。始めた頃は良いけど長い年月経ってしまえば男性側は当然老いる訳で、それでも女性側があのままだと、かなり変な感じがしますが、そこら辺は特に考えていないのかな。

私としては、結局のところ作り出しているのは家事を通常通りにこなすだけのセクサロイド*4だけですし、相手にそれだけを要求しているというのは、結局のところ相手を人間扱いしていないわけですし、相手が自分の意志で行動し、意見を言うという一番重要な部分を奥さんから取り去っているわけで、結局のところ、奥さんをセクサロイドに取り換えて喜んでいるのだとしたら、控えめに言っても狂気としか思えないですが*5、あれが楽園に見える人っているんでしょうかね。

私自身は、異性相手が自分なりに考えて私に返してくれる反応が、惹かれる最重要なポイントでもある*6ので、かなり薄気味悪かったですけどね。奥さんたちが物みたいに扱われているのが。


ラストシーンで奥さん達と取り換えられたセクサロイド達*7が、互いに単調な挨拶をしているシーンが皮相的。

*1:血の出るシーンはあるが、いわゆるホラー系の無秩序な出血では無い。血が出るかと思ったシーンでも、全然出なかったのには驚いた。あの変わってしまった親友の体に刃を突き立てたシーンね。設定としてはロボット、という事なのかな。ラストで見る限りなまめかしい感じだし、セックスの描写[声だけだが]もあるので、多分カテゴリとしてはセクサロイドみたいな感じか。家事もやっているので、やっている事は結構高度だが、多分、発展的な思考はできない設定なんでしょうね。

*2:という感じなのかは分からない。進歩的な活動、みたいな内容なのかも。具体的な描写は無いので不明。

*3:と言ってしまうよ。私はそう思っている。

*4:この機能も持っているのでこの呼び方にしています。実際、家事とこの機能以外を持っているとは思えない。自由な発想をしている描写は無かったし。

*5:映画中でもディズニーランドが象徴的な言葉として使われます。

*6:なので、会話がちゃんと成立できない人と付き合うのはとても難しいです。ここら辺がもしかしたら私がカップルを作るのが難しかった点なのかも。女性側の意見も聞いてみないと分かりませんけどね。受け身すぎると続かないです。

*7:どうやら黒人やアジア系も混じっているようなので、人種差別は無い模様。