男女相互行為の、心境相違と行動決定の結果。~男女間での思いやり~

物凄く堅苦しい言い方していますが、要は性行為*1と、それに伴う、不本意な妊娠に関する、中絶と医療行為の結果、精神的苦痛に関する損害賠償請求事件の話です。
実際には、引用記事および、判決文、または判決*2を掲載している記事*3を読んでほしいが、男女の責任を、双方同様に負担すべきと捉え、そこから諸費用や賠償額を完全に折半して計算して請求した事例となっている。
裁判を行っているため、弁護士費用が嵩んでしまい*4、最終的に原告に渡る金額はさほど大きくはないにせよ、これは当然と言えば当然な判決であると思う。
法律的には結構古い法律での項目が出てきたりして、なかなか大変だった印象を受けるが、こういった常識的とも言える判決が出た事は喜ばしい事であるし、実際に類似事例が出た際にも、こういった判例があることを知っている事は重要であると思えるので、ここに紹介する事にした。


ちなみに、概要。『画期的! 妊娠中絶、男性に賠償命令: 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』から。

東京高裁平成21年10月15日判決は、妊娠中絶させたこと自体を不法行為ととらえるのではなく、妊娠中絶に至った女性の精神的・肉体的苦痛や経済的負担を軽減する義務が男性にあるという法的構成をとり、男性がその義務に違反したとして損害賠償を認めた。

共同の性行為に由来するものであるから、男女は等しくその不利益を分担すべきであり、その不利益を分担しない男性の行為は、法律上保護された女性の利益を違法に侵害するとしたものである。

http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2011/06/post-b87d.html


また、特殊な法律構成としては、『画期的! 妊娠中絶、男性に賠償命令: 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』から。

また、この判決は不利益を分担すべき義務を導き出すために「条理」を用いている。
「条理」は明確な法律上の根拠が見いだしがたいときに持ち出されるもので、これを根拠とする判決例もまた極めて珍しい。

条理 「民事裁判ニ於イテハ成文アルモノハ成文ニ依リ成文ナキトキハ慣習ニ依リ成文慣習共ニ存セサルトキハ条理ヲ推考シテ裁判スヘシ」

これは、明治8年太政官布告第103号裁判事務心得第3条である。現在も、裁判規範として効力を有している。

http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2011/06/post-b87d.html


実際には、まだ判例時報および、判決文を読んでいないのだが、取り寄せて、読んでみたいと思える事例でした。
とても常識的な内容であり、こういった判決が、時に非常識と思える男性の行為に、十分な警告となっていく事を望みます。


何と言っても「法は些細な事には関わらない*5 *6」のであるから。
日常生活の指針としては、人間が常識として行動する方が良い*7のです。

関連リンク
弁護士 小松亀一法律事務所_男女問題_合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度1
画期的! 妊娠中絶、男性に賠償命令: 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋

※ 本記事は過去記事について、リンク切れ等を調整したものです。基本部分は特に修正していません。

*1:結果として、不適切で不誠実であったと推測される。実際の判決文は読んでいないので、『画期的! 妊娠中絶、男性に賠償命令: 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』『弁護士 小松亀一法律事務所_男女問題_合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度1』などの判例時報の引用文章などによる。なお、裁判というのは、知っている方には言わずもがな、ではあるが、事実が明らかになる訳ではなく、争点に対しての裁定を行う行為であるので、実際には、被告と原告の間には、これと異なる行動が伴っていた可能性もある。あくまで裁判で争われた内容のみが論じられている事に留意。

*2:東京高裁平成21年10月15日判決

*3:判例時報2108号57頁

*4:何故か、片方で83万、片方で30万と違いが出ているので、微妙に印象が違うが。これはどっちが正しいのであろうか。結構重要な要素の気も。ただ、これは弁護士依頼事由なので、仕方がないと思うが。

*5:法の格言。実際には刑法の謙抑性と並べて語られる事が多い。

*6:ちなみに、「法は些事にこだわらず」とも書くようなのですが、何か捜しても書いている人がいなくて、私の書いた文章が検索の先頭に来てしまいますね(苦笑)...。

*7:法で行為を強制するよりは。